「雪と闇が交わる時、少女は運命を超える」——氷の混血令嬢ティエル、転生と逆転のロイヤルファンタジー!!
自分が何者かなんて、選べるわけがない。
でも、それで“存在を否定”されるなんて、誰が納得できる?
彼女の名前はティエル。母は冷たき誇り高きユキヒョウ族、父は獰猛で名高きクロヒョウ族——その間に生まれた混血の少女は、「異物」として蔑まれ、母の死を背負わされ、そして……愛を知らぬまま、命を落とした。
……はずだった。
気づけば、死の1ヶ月前に戻っていたティエルは、もう一度“あの地獄”を繰り返さぬため、冷酷な母方の家・ネスティアン家を捨て、生まれて初めて“本当の家族”を探す旅に出る。
その導き手となるのが、煌めく帝国の皇太子・イアンドロス。彼との出会いが、彼女の運命に温かな火を灯すのだ。
この物語の何がすごいって、まずティエルの“強さ”が本物すぎる。
「虐げられるヒロイン」じゃない、「自ら逃げ、選び、掴みに行くヒロイン」なんだよ。
涙も流すし、恐怖もある。でも、それでも立ち上がる。読んでるこちらが思わず拳を握るくらい、ティエルの意志は芯が強い。
そして注目すべきは、アステリアン家の描写。
最初は「怖そう」と思ってたクロヒョウ族の家族たちが、実は繊細で深く愛を知る者たちだったって展開、最高にエモくない?
一見冷酷そうな父や兄たちの優しさに触れていくたびに、「本当の家族って、血じゃなく心なんだ」って思わされる。
特に父親の“ぶっきらぼう不器用愛情”は、読者の涙腺を確実に破壊してくる。
この作品のイラストもまた、繊細かつ華麗。
kotavi先生の描くティエルの憂いある瞳、雪景色の中に立つ姿はまるで絵画。背景には冷たい風が吹くような静けさがありながら、どこか希望の光が差し込んでくるような空気感がある。そしてクロヒョウたちの鋭さの中に見える柔らかさ、そのギャップがたまらない。
一見“転生モノ”と思われがちだけど、この作品の真髄はそこじゃない。
“生まれ直す”ことよりも、“自分を肯定する”ことがテーマなんだ。
周囲に否定され、過去に囚われ、それでも前に進もうとするティエルに、私たち読者も「私も変われるかも」って勇気をもらう。
この作品には、少女漫画の持つ繊細さもあれば、ファンタジーの壮大さ、そして人生の厳しさと優しさ、全部が詰まってる。
こんな混血ならぬ“ハイブリッド感情爆弾”なストーリー、読み逃すなんてありえない。
今度こそ、ティエルに幸せを。
彼女が自分で手繰り寄せた、雪解けの未来を見届けてほしい——。


